祖谷の家はたいてい畑を持っており、食卓には自分たちで育てた新鮮な野菜が並びます。
いいなぁ、うらやましいなぁ。 祖谷の風景をイメージしながら、そんなことを思う人も少なからずいるのではないでしょうか。
しかし、現実はそれほど甘くはありません。 食卓に並ぶ新鮮な野菜は、血と汗の結晶なのです。
と言うのは、害獣が凄いんです。 中でも猿。
いま祖谷には猿が一杯います。 そして昔のように無防備に野菜を作っていると根こそぎもっていかれます。
しかも、必ずと言っていいほど、収穫予定の前日に荒らします。 まるで人の心が読めるようです。
そして食い散らかします。 どうせなら残さず食えよ!と思います。 人間をあざ笑っているかのようです。

あざ笑うと言えば、その態度にも腹が立ちます。
比較的体が動く人間には極度に警戒します。 その存在に気付くと必死の形相、脱兎のごとく逃げ出します。
しかし動きが鈍い老婆などに出くわすと舐めてかかります。 一応逃げはしますが、余裕たっぷり、大変ふてぶてしい態度です。
そして見える位置で立ち止まり、振り返ります。 そしてそこで座って様子を伺い始めます。 実に憎たらしいです。
老婆は憤慨します。 「なめるな」と石を投げます。 でも届きません。 ぎりぎり届かない距離を心得ています。
老婆は猿に近づき追い払おうとします。 すると猿は少し下がります。 老婆との距離は常に一定に保ちます。 まるであざ笑うかのようです。
これでは埒があきません。 老婆はあきらめます。 煮えたぎる怒りを胸に家に戻ります。 すると、猿はノソノソと近づいてきて、また悪さを始めます。 完全に見下されています。
対策は柵しかありません。 他の害獣の場合、畑の周辺に柵をすればそれでOKです。 しかし猿の場合それでは片手落ち。 上から入って来ます。
なので上にも柵が必要です。 広い畑だとそれは非現実的。 そこまでできるのは家庭菜園レベルの狭い畑です。

しかも網目の大きさにも注意がいります。 これくらいで大丈夫だろう、などとタカをくくってはいけません。 子猿を入れて作物を盗ませます。

網目を細かくしたらもう大丈夫? そういう訳にはいきません。 きゅうりなどつる性植物は柵の外までつるを伸ばします。 猿はそのつるを手繰って中の野菜を引き寄せます。
なので、きゅうりなどを植える場合はトタンなどで上を塞がねばなりません。

まだあります。 猿は地面も掘ります。 地面からの侵入も防ぐ必要があります。 コンクリートや木材でガードする、または地中まで杭を打ち込むなどの対策が必要です。

まだ終わりません。 あとは何が必要だかわかりますか?
猿マネ対策です。
猿は人の様子を見てマネをします。 なのでフックを掛けるだけなどの簡単な錠では真似されてしまいます。 猿マネができない錠にする必要があります。

と言うことで、観光客に人気の猿も地元住民にとっては大変な厄介者。 猿対策なしで家庭菜園などは楽しめません。
移住を検討される方は、獣害問題についてもよく肝に命じておく必要があります。


コメント