ミツバツツジ、ご存じですか? ”ミツバ”と言うのにすぐには葉は出さず、鮮やかな紫色の花だけを枝一杯に咲かせます。
岩肌にも根を下ろします。 山を削ってできた祖谷の道。 あっちこっちのむき出しの岩肌に、可憐な花を咲かせます。
しかもこの花は咲くのが早い。
世間では梅を ”春告草” と呼ぶそうですが、祖谷ではミツバツツジが私たちに春の到来を教えてくれます。
※梅の方が先に咲くが祖谷ではまだ厳しい冬が続く。
山や岩肌がミツバツツジで埋まる頃、私たちは本格的な春到来を喜びます。

大歩危峡でも岩に咲くツツジを見ることができます。 キシツツジと言います。 そしてこれがすごいんです。
岩なので栄養がありません。 しかも大歩危峡の岩はツルツルしています。 とても植物が育つ環境ではありません。 しかしキシツツジは微かな岩の割れ目に根を張ります。
他の植物も同様に根を張ろうとします。 しかも大歩危は頻繁に洪水が襲ってくるところ。 他の植物はすぐに流されます。 しかしキシツツジは踏ん張ります。 激流に負けずにそこに居座ります。
ここの岩石は大変熱くもなります。 ジリジリと照りつける四国の夏の太陽。 剥きだしの岩は目玉焼きが焼けるほど?高温になります。 並みの人間なら5分と立っていられません。 しかしこの花は大丈夫。 いくら暑くても、いくら日照りが続いても、元気にそこで生き続けます。

なぜか? なぜキシツツジはそんな環境でも生きていけるのか? 環境に合わせて生態を変えたからだそうです。
ポイントは葉。 キシツツジのそれは他のツツジよりも小さく、流線型をしています。 小さくて、細くて、分厚いと言うことです。
これによって水の抵抗が減り、激流にも耐えられるようになりました。
さらに分厚い葉は水分も貯め込みます。 日照りが続いても、これを消費して過酷な夏を耐え抜きます。
”最も強いものが生き残るのではない。最も賢いものが生き残るのでもない。唯一生き残るのは変化に対応できるものだ”。 ダーウィンの言葉です。 キシツツジ、そのものですね。
そんな過酷な環境で生き抜くすべを身に着けたキシツツジ。 場所を奪い合う相手はおらず、今や左うちわで種の保存に専念できるそうですよ。

と言うことで大歩危・祖谷の春。 是非、たくましくも可憐なこのような花もお楽しみください。
キシツツジは遊覧船から見ることができますし、ミツバツツジは祖谷街道(ここに記載の経路)で普通に見ることができます。
ミツバツツジは4月上旬頃まで、キシツツジは4月下旬頃まで見ることができると思います。

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