落合集落はどのように眺めればよいか(その3)

落合集落 観光サイト
当サイトには広告が含まれています。

以前、栗寄の大カーブの話をシリーズで書きました。ここから奥が東祖谷なのですが、しばらくの間、民家も途絶え、対岸には原生林だらけの自然豊かな場所が続きます。

西祖谷との境界に位置するこの辺りは高野たかの集落と言って、春は新緑、秋は紅葉がいっぱいの大変きれいなところです。

そしてこの辺り、人がいないから自然が残っているのかな?と思いきや、実は山の上に傾斜地集落が存在します。幹線道路からは見えないだけです。

高野の景色

高野を過ぎると今井という集落に続きます。右に吊り橋が見えてきます(上流に向かって進む場合の話です)。その辺りです。

ここに橋があるということは、ここを使って行き来する人がいるということです。

と言うことで、ここも幹線道路からは見えませんが山の上に傾斜地集落があります。

その証拠に橋への入り口には停留所もあります。

今井のバス停

更に行くと、比較的近代的な橋が2つ続く場所があります。そして2つの橋の間に右に入る道が出てきます。 ここを上がると”釣井つるい”という傾斜地集落にたどり着きます。しかしやはり幹線道路からは見えません。

更に更に、観光名所の龍宮崖公園。ここにも吊り橋があります。この橋の上から見た光景が大変美しいということで、ちょっとした観光サイトになっています。

この橋は住民用のものでもあり、対岸の崖を上ったところに傾斜地集落があります。右の写真の正面の山の上に人が住んでいるということです。元井もっといと言います。

という感じで、祖谷には、見えない傾斜地集落がたくさんあります。しかしその殆どが見えません。

龍宮の吊り橋

でも落合集落だけは別です。幹線道の至るところで見ることができます。

例えば次の写真は東祖谷小中学校を紹介する時によく使う写真です。この写真、何かお気づきになりますか?

東祖谷小中学校と落合集落

そうなんです。校舎の背景に傾斜地集落が見えます。 これが落合集落なのです。 他にも下瀬トンネルと言うトンネルを出たところからも見えます。

上流からも見られます。例えば下記は祖谷で最も奥に位置するガソリンスタンドの近くです。やはり落合集落が見えています。

なぜでしょう? なぜ、落合集落だけ、幹線道からでも見ることができるのでしょうか?

それは地形が関係しています。 落合集落は上から下まで傾斜角度が一定しているのです。 およそ30度です。

傾斜が変わると、山の上の傾斜地集落は見えにくくなります。 急傾斜の上の平らな場所は下からは見えないためです。 殆どの傾斜地集落が幹線道から見えないのはそのような理由によります。

しかし落合集落は、縦390mに渡って傾斜が一定しています。 なので下からでも見られます。

傾斜が一定だと場所が変わっても暮らしやすさが変わりません。 なので住宅や畑がきれいに散らばって配置され、調和のとれた美しい景観を作り出しています。

すなわち、落合集落の景観美は、稀有な地形、すなわちジオが生み出した必然だった、と言うことができます。

祖谷の観光サイト/落合集落

落合集落が地形的に稀有と言える事柄は他にも2つあります。

一つ目は、対岸の中上なかうえという集落から全体を一望できるということです。 これもこの地ならではです。 ここは2つの集落が向かい合って存在している稀有な地形の場所なのです。

二つ目は、落合集落の傾斜が南に面しており、大変日当たりがよいことです。 たぶん東祖谷で一番だと思います。

なので、落合集落はいつも日当たり。 日陰の多い祖谷を車で走っていると、まるでスポットライトを浴びたかように、落合が目の前に浮かび上がってきます。 「見て見て~」と言わんばかりです。

祖谷の観光サイト/落合集落

稀有な地形が生み出した美しい景観美。 それを対岸から全貌できるという稀有な恩恵の下に、更にスポットライト付きで見ることができる。

これだけ条件の揃った場所は他にはありません。 国が伝統的建造物保存地区に指定するのも頷けます。

皆さんも、落合集落をご覧になるときは、このような3つの恩恵についても意識してみてください。 きっとありがたみが倍増しますよ。

加えて、ここまでの道中、傾斜地集落が全く見えないこともご確認いただければ、更に更にありがたみが増すものと思われます。

コメント

タイトルとURLをコピーしました