ツアーガイドをやっているといろいろなお客様に出会います。 特に外国人の場合、発想のベースが違うので戸惑うことも少なくありません。
あれはイスラエル人6人組を案内した時のことです。 「大歩危を散策したい」と言うのでその景観を説明しながら歩いていると、「こんなところを観たいのではない」と言い始めます。
話を聞いてみると、大歩危の名所を観たいのではなく、大歩危の自然を楽しみたいというのです。
いやいや、だから、自然を案内してるでしょ? 大歩危はすべて自然が作った名所ですよ!? 私の頭は混乱します。
が、「ここは人も車も多い」とか、「自然だけに囲まれたところを散策したい」とか言う発言をきっかけに「ひょっとして?」と思い始めます。
しかしまだ私の心は半信半疑。
「こんなところだけどよいか?」と写真を見せ、「そのためには近くまで車で行くことになるがよいか?」とか、「そこはあなたたちが希望した大歩危ではないがよいか?」とか、何度も念押しした上で、近くを流れる藤川谷という谷川の支流にある”赤子淵”というところに連れていきました。
次の写真の1枚目です。 2枚目で示した渓流沿いを上がります。


するとどうでしょう。 盛り上がる、盛り上がる。 先程までの不機嫌さがまるでウソ。 我が意を得たりとスマホのシャッターを切りまくります。
歩くだけではガイドにならないので、目についた道端の山菜なども説明してみます。 意外なことにこれも大喜び。 似たような自国の植物と比較し、あぁ~でもない、こぉ~でもない、と議論を始めます。
という感じで、何とかピンチを切り抜けた私ですが、その先にはご褒美も待っていました。
お客様はすっかり上機嫌。 自国のチョコを袋詰めし、急ごしらえしたと思われるリボンを添えて渡してくれます。
そして、「楽しかった!」、「ありがとう!」と銘々から握手を求められ、最後はちぎれるくらい手を振って去って行きました。
ガイド冥利。 そんなに喜ばれるとこちらも平常心ではいられません。 何やら大変な名残惜しさを感じながら、姿が見えなくなるまで私も手を振りました。

イスラエル人も大満足のここ藤川谷は、妖怪ロードとも呼ばれ、渓谷美と妖怪伝説で有名なところです。
すなわちここは、淵と瀬の連続が作りあげた絶妙の景観美が魅力なのですが、実は淵は崖崩れの産物。 落石が水の流れを遮り、迂回した急流が川底の土砂をさらっていくことで淵が作られます。
そして淵から流れる大量の水は、その先の瀬や岩盤の表面を急流となって滑り落ち、次の淵に落ち込んで渦を作ります。
ここの谷川は勾配がきつく、雨も多いため、急流や渦は、時にその威力を増して人に襲い掛かります。 子供が近づくとひとたまりもありません。
そこで大人は妖怪話を作り上げ、危ないところに近づかないよう言い聞かせます。 「あそこに行くとカッパが出るぞ~!」。
「渦があるから危険!」と言うより子供にはその方が効果的。 そしてこうしてたくさんの妖怪話がこの地に誕生します。

と言うことで、繰り返しになりますが、イスラエル人も歓喜したここ藤川谷は、ジオ(大地の営み)が作り出した渓谷美と妖怪伝説の名所なのです。
そして、来たる2026年3月28日(土)、その藤川谷でウォーキングイベントが開催されます。 妖怪語り部のKさん、ジオガイドのHさんと渓流沿いを歩きながら、妖怪伝説誕生秘話と実際の妖怪話を楽しみます。
時は春。 新緑、薫風、渓流のせせらぎ、野鳥のさえずり。。。
そんな自然たっぷりのこの場所で、お子さん、お孫さん、あるいはお友達と、楽しい一日を過ごしませんか?
ご興味のある方は、ポスター掲載のQRコードまたは電話番号からお申込みください。
地元産のお茶、おやつ、遊覧船乗船券、温泉入浴券もついてこのお値段! 更に遊覧船に乗ってのジオガイドとの謎解きは、年に1回、このイベントだけの特典ですよ!



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