もうすぐ春の修学旅行シーズンです。 今年も大阪の中学生がうちにやってきます。 教育民泊です。 最近の中高生は修学旅行に田舎体験を入れるのです。
最初、子供たちはヘトヘトです。 なぜって、こんな山奥までバスで連れて来られるのですから。
大阪の中学と言えばマンモス校。 当然祖谷だけでは補えません。 西阿波全体で受け入れます。
祖谷までの遠い道のり。 何か所もの受入れ地区を通過するたびに、少しずつ友達が減っていきます。 そしてここ東祖谷はその終点。 最後の子供たち20名弱だけがマイクロバスに乗り換えさせられて送り届けられます。
その子供たち、一体どんな思いでしょうか? しかもマイクロに乗った途端にクネクネ道。 両側1車線に変わります。 対向車が来るとバックです。 まだ感性豊かなティーンエイジャー達は車酔いもします。 どんどん気持ちが塞いでいきます。
そして到着。 集合場所は東祖谷歴史民俗資料館の前です。 そこで初めて受入れ家庭と面会。 5分後には4人ごとのグループに分かれて各家庭に引き取られていきます。 未知の世界、知らない人たち。 さぞや不安なことでしょう。

それがどうでしょう? 翌日帰る頃にははち切れんばかりの笑顔です。 先生のもとに集まって、ワイワイガヤガヤ。 こんな事したとか、あんな経験したとか。 先を競って報告します。
あっちではグループ間で張り合っています。 うちの方が楽しかっただの、自分たちの方がラッキーだっただの。 その間、女の子などは受入れ先のおばあちゃんにべったり。 ずっと手を握って別れたくないと涙ながらに訴えます。
なぜか? 祖谷の一夜(高校生の場合は二夜)は都会の子供たちには大変なインパクトのようです。
じゃがいもが土の中で育つことを初めて知ったり(木に成ると思っていたらしい)、近くで鳴く鹿の声に驚いたり、星がこんなにたくさんあることに感動したり。。。
彼ら(私の家にはまだ男の子しか来たことがない)は家事ですら盛り上がります。 殆どの子が料理は未経験。 まるでリアルままごと。 侃々諤々、あぁ~でもない、こぉ~でもないと、協力しながら、時にふざけながら、しかし一生懸命作ります。
稀に家事経験の豊富な子がいて、共同作業をけん引します。 「おまえ、すごいなぁ」、「なんでそんなことできるん?」。 思いもしない友達の新たな一面。 相互理解が深まります。
しかしお題は初めての郷土料理。 まずもってうまくはいきません。 だけどそれもご愛敬。 不出来を笑い、あれこれなじり、ワイワイガヤガヤ食事します。 そして自分で作った料理がこんなにも美味しいことも初めて知ります。 ますます楽しくなります。
更に会話は進みます。 彼らは一緒に食事をするだけで喜びます。 「みんなで食べるのって楽しい!」、「こんな大勢で食事をしたの初めて!」。
「今年初めて人と御飯を食べた」と言う子すら出て来ます。 「僕は正月に家族で食べたもんね~」と隣の子が自慢します。 おいおい、今は5月ですよ。君も全然負けてないぞ。 心の中でつぶやきます。
しかし。 それにしてもびっくり。 さすがに誇張してるとは思いつつ、子供心にはそれくらいの孤独なのだと思います。 そしてそれが当たり前。 ここに来るまで気づきすらしていない。
「よ~し、今日はとことん遊ぶぞ~!」。 不憫に思った私は子供たちを夜の探検に連れ出します。 夜更かしもさせます。 修学旅行の思い出は夜更かし。
「今日はとことん遊べ! 但し起床時間は守ってね」。 そう約束したらあとは放任。 私は離れた部屋に退散し、遅くまで騒ぐ子供たちの声を遠くに聞きながら眠りにつきます。
そして翌朝。 自慢の車庫上で朝食です。 みんな眠い眼をこすりながら集合します。 憂鬱そうです。 しかし出迎えてくれるのは日の出、朝霧、野鳥の声。 ヤマガラ遊びができることもあります。 子供たちの目つきが変わります。 ワァワァキャーキャー、昨日の乗りが戻ります。
こんな感じで過ごす一泊二日(高校生は二泊三日)。 生まれて初めての非日常を体験した子供たちは誰かに話したくて仕方ありません。 帰りの集合場所で先生に出会うと一目散。 それが冒頭のお話です。

教育民泊とはこんな感じで行われます。 他に”体験”メニューも入れないといけません。
基本的に農業体験ですが、それに限定はされません。 実際、農家でない私の家では、集落支援活動を軸に体験メニューを組んでいます。 集会所の水の管理を手伝ってもらったり、高齢者宅の水源地の清掃をしたり、集落のレクレーションに乱入してもらったり。
例えば水源地の清掃活動。 高齢者には大きな負担。 やってあげると大変喜ばれます。 掃除の前に事前連絡、家を訪問して回ります。 終わったら終わった旨を連絡して回ります。 やるのはすべて子供たち。 大変感謝され、お菓子をくれたりもします。
子供が来てくれるだけでも嬉しいのに、困り事まで解決してくれる。 誠心誠意、喜びが表現されます。 相手に伝わらないわけがありません。 子どもたちも嬉しそう。 人の役に立つ喜びを知ります。
と言うことで、教育民泊は、子供たちのためになるばかりか、集落活性化にも役立ちます。 そしてそれが再び子供たちのプラスとなって返ってきます。
どんどん寂しくなっていく現在の祖谷。 そんな現状を憂う皆様、我と思わん方、是非一緒に教育民泊やりましょう!

さて、気になるのは負担でしょうか。 受入れ家庭に義務付けられるものは2つだけです(安全管理など常識的なものは別として)。 常に一緒にいること(トイレ、風呂、就寝を除く)、すべて子供たちにやらせること(やってあげないこと)、です。
つまり子供たちに寄り添うことを基本とし、それ以外は何もやる必要がありません。 大変負担が少ないと言うことです。
もちろん、事前に布団を干したりはしますが、布団の取り込み~カバー掛けは子供たちがやります。 帰りはカバーを外し、洗濯機に突っ込み、布団を干すところまでやります。 買い出しや体験メニューの検討などは必要になりますが、毎回同じ内容でOK。 いちど道が付けばあとは繰り返しで負担感はありません。
そしてちょっとした臨時収入にもなります。 一般的なホテルの宿泊代+飲食代程度が支払われます。 4人いるので合算するとそこそこの金額になります。 年金生活者の副収入源としては十分です。 受入れ回数は、私の場合で、春3回、秋3回程度です。 他の人たちはもっとたくさんやっています。
ということで、やってみようかな?と思う人は、そらの郷にご連絡ください。 この施策は ”株式会社体験教育企画” と言うところが全国展開していて、西阿波の窓口を ”そらの郷(一般社団法人)” がやっています。 詳細はこちら。 民泊受入れの申し込み相談も同サイト記載の番号に電話すればよいと思います。
すでに春の受け入れは決まっているので、次回は秋です。 高齢化で受入れ家庭の確保に苦労しているようですので手を挙げれば喜んで迎え入れてくれると思います(当然研修や現場確認などはあります)。
PS)良いことばかり書いていますが、注意点もあります。 アレルギー体質の子供たちも少なくないので食材はもとより、動物を飼っている場合は制約を受ける場合があります。 また最近の子供は和式トイレが使えないようでリフォームが必要になるかも知れません。 いずれにしても窓口であるそらの郷にご相談ください。
なお、リフォームについては最近面白いサイトを見つけたので紹介しておきます。 大変細かいところまで記事が作り込まれています。 教育民泊に限らず、祖谷の活性化にリノベはつきもの。 何かの参考になればと思います。
「建物リペアガイド」 – 修繕・塗装の基礎知識や最新トレンドを紹介するサイト

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