かなごじり、かめのつぼ、くわんなる。。。 何のことかわかりますか?
これに ”だよんなる” を加えれば「あぁ、あれね」と気づく人もいるかも知れません(わからない人はこちら)。
そうです。 屋号です。 古い家が多く残る祖谷では、今でも屋号が使われることが少なくありません。
そんな中、地元民からこよなく愛されている屋号があります。 ”なこち” です。

”かなごじり” 、 ”だよんなる” 、”なこち”。 初めて耳にした人は必ず「何ですか、それ?」と聞いてきます。 大変謎めいた響きです。
そして、不気味な感じ、コミカルな感じがする前の2つに対して ”なこち” は少しキュートな響きに聞こえませんか?
”なこちゃん”、”なこちん” に似て、幼子を連想させるせいでしょうか? ”和し(穏やかなこと)” や ”和む” と言う言葉に近いせいもあるかも知れません。 いずれにしても正体を知りたい衝動に駆られる言葉と思います。
その ”なこち”、観光スポット”落合集落” のまん中辺りに存在します。 当然、落合集落全体へのアクセスがよく、落合集落全体からのアクセスもよいと言うことになります。
落合集落ウォーキング(写真集)では集落最上部からの景色が素晴らしいことを述べました。 しかし集落の中腹にある ”なこち” からの景色も大変お奨めです。

例えばこちら。 祖谷で唯一の生きている田んぼです。 それを間近から見下ろすことができます。 畑も見えます。 満開なのはソバの花です。 そしてその向こうの森には、県の重要文化財 ”三所神社” があります。

正面には中上集落が一望できます。 真ん中に見える1本杉の辺りが落合集落展望所です。 いつもはそこからこちらを観ます。 今日は逆です。

拡大すると例えばこんな感じです。 まん中に7つ、円錐状のオブジェが並んでいます。 これはコエグロと言って祖谷の農業に欠かせない物体です(詳細はこちら)。
その周りもきれいに草が刈られています。 祖谷の人たちは家の周りをいつもきれいに保ちます。 その勤勉さや実直さが景観と共ににじみ出ていて何やらほっこりした気持ちになります。

左上に目をやると、西熊山(標高1816m)、天狗峠(1788m)、天狗塚(同1812m) が見えます。 森林限界を超えるこれらの山や峠は笹が生い茂る美しいところです。
特に天狗峠から見る天狗塚は、間近に迫った気高くも美しい円錐状の山容が、「ここまでおいで」と手招きしてきます。 そしてその頂上から見る笹原はまさに絶景! 私が登った山の中で最も印象に残る景色でした。

次に目線を右にやってください。 高知県との県境が見えます。 鉄塔らしきものがぼんやりと3つ見えるのがわかりますか? そして一番左の鉄塔のすぐ左がくびれています。 そこが峠です。 高知県との境で、京柱峠と言います。

そんな景色のよい”なこち”。 庭に続く長い縁側があって、そこに座ってぼんやりと景色を眺めることができます。
たぶんですが、近いうちに宿泊施設としてオープンすると思いますので、楽しみにしていてください。
ちなみにですが、皆さんのお近くにも ”なこち” と呼ばれる家や場所があるかも知れません。
地名研究家によれば、”なこち” とは、一般に ”なかうち” または ”なかおち” が訛ったものらしいです。
”なか”は中、”うち”は内、”おち”は崖を意味するそうで、”なこち” とは、”まんなかのまんなか”、または ”まん中あたりの急傾斜地や崖” を意味した言葉のようです。
落合集落の “なこち” は ”なかうち” が縮まったものと思われ、実際、近くに中内家の墓もあります。 そしてなこちは落合集落のまんなか辺りに位置してもいます。 それは冒頭でも述べた通りです。

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