初盆の準備について取材する機会があったので、東祖谷の初盆について紹介します。
ひょっと独特です。 祖谷の人には初盆のマニュアル、民俗学関係の人には参考、それ以外の方には暇つぶしにでもなれば幸いです。
初盆の概要
念のため、初盆の説明もしておきます。
人が亡くなり、四十九日後(忌明け)に迎える最初のお盆を初盆と言います。 関東では新盆とも言うようです。 仏教を信仰している場合の話です。
先祖の霊が帰ってくると言われるお盆。 始めてお盆を迎えられる仏様(すなわち初盆)には ”迎え火” をします。 間違えずに自宅に戻れるよう提灯などを飾るのです。 門前でおがら(麻の茎を乾燥させたもの)を焚く地方もあるようです。
この迎え火。 祖谷では ”火とぼし” と言って外で焚火のようなことをして迎えます。 私の集落では、8月1日にその準備を行い、8月14日に本番を迎えます。 真言宗だからなのか、地福寺の檀家だからなのか、祖谷だからなのか、それはちょっとわかりません。
でもまぁ、面白いと言うか貴重な風習の一つと思うので、記録として残しておきたいと思います。
まずは8月1日に行った準備の様子です。
火ぃに入れるやつの材料準備
まずは燃やす材料の用意です。 ミツマタとヒノキで作ります。 ヒノキの代わりにマツを用いる場合もあります。
正式な名称があるかも知れませんが、聞いてもたぶん「初盆で火ぃに入れるやつ」と言う答えしか返って来ないと思うので、本日はその呼び方で進めます。 また正式名称が分かったら補足説明をいれておきます。

これはミツマタです。 厳密にはその皮を剥いで乾燥させたものです。 皮は和紙や紙幣の原料になります。 昔の祖谷では大変貴重な現金収入の一つでした。
これを割り箸くらいの大きさに切ります。 切った写真は、すみません、撮り忘れました。

これは乾燥させたヒノキです。 よく燃えるそうです。 やはり割り箸くらいの大きさに切ります。

これは稲わらです。 火ぃに入れるやつを束ねるのに用います。
写真の左下に私が試しに作った雑な最終形があります。 こんなものを今から作ります。
火ぃに入れるやつの作り方

割り箸くらいの大きさに加工したヒノキとミツマタを数本束にして左手に持ちます。
右手には稲わらを1本、太い方を上にして持ちます。

稲わらの先が少し出る感じでヒノキとミツマタの束に沿わせ、左手の親指で押さえます。

抑えた左手の親指を巻き込む感じで稲わらを1回巻きます。

更にもう一回巻きます。今度は親指は巻き込みません。

二巡させた稲わらを左手の親指で押さえます。

そしてそのまま下に引きずり込みます。

こんな感じです。

次に最初の出した先端を右手で引きあげます。これでしっかり縛れるはずです。

左手で押さえていた方の稲わらも形を整えます。

こんな感じです。きれいに整いました。

完成です! こんなものを108個作ります。 今回は2年分一度にやる(理由は不明)とのことで、216個作りました。
動画で見るとこんな具合です。
火ぃに入れるやつの束ね方
次に、火ぃに入れるやつの束ね方を説明します。
まずは稲わらで縄を綯います。 こんな感じです。 が、ここまでなるには修業が必要です。

それと並行して、先ほど作った”火ぃに入れるやつ”108個(今回の場合は216個)を10組毎の束にします。最後に余った8組を束にします。 これで11の束ができます。
そして綯い終わった縄で11の束を縛ります(今回の場合はその束を2つ作成)。 こんな感じで慎重にきれいに。

完成です。
パンパン言うやつの準備

次にパンパン言う奴の作り方です。 と言ってもシノベ竹を切って来るだけです。 これを火に入れてパンパン音を鳴らします。 かがり火だけでなく、音も使って場所を知らせるのです。
本来は108本必要ですが、あいにくこの日はこれだけしか穫れませんでした。
完成

初盆の準備完了です。 あとは8月14日の本番を待つばかりです。
※こちらの家庭は初盆2年分が必要ということで、火ぃに入れるやつは108の束を2つ作りました。
おまけ

おまけです。
実はこの日はこのようなものも用意しました。
どう使うか? それは8月14日版の報告をお待ちください。
おしまい。

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